マネーストック
最新統計
2021年10月【速報値】主要指標
前年比- M1
- 981兆4,877億円 +7.2%
- M2
- 1,170兆7,242億円 +4.2%
- M3
- 1,522兆1,873億円 +3.7%
- 広義流動性
- 2,004兆5,625億円 +5.0%
※資料:日本銀行「マネーストック統計」
2021年10月【速報値】M3内訳
前年比 寄与度- 現金通貨
- 111兆6,851億円 +3.3% +0.18
- 預金通貨
- 869兆8,026億円 +7.8% +4.27
- 準通貨
- 505兆6,686億円 -3.1% -0.86
- CD
- 35兆0,310億円 +17.1% +0.27
※資料:日本銀行「マネーストック統計」
2021年10月【速報値】広義流動性内訳
前年比 寄与度- 金銭の信託
- 336兆1,704億円 +13.7% +2.12
- 投資信託
- 88兆1,447億円 +0.9% +0.05
- 金融債
- 2兆9,695億円 -4.1% -0.01
- 銀行発行普通社債
- 3,519億円 +10.6% 0.00
- 金融機関発行CP
- 1,647億円 -50.8% -0.01
- 国債
- 22兆4,806億円 -0.6% -0.01
- 外債
- 32兆0,934億円 +1.2% +0.02
※資料:日本銀行「マネーストック統計」
マネーストック
グラフと内訳表
※資料:日本銀行「マネーストック統計」」
マネーストックの解説
市中に出回っているお金の総量
マネーストックは、社会に出回っているお金の総量(金融機関と中央政府が保有するお金を除く)になります。日本では「M1」「M2」「M3」「広義流動性」の4つの指標があり、「M1」→「広義流動性」に進むにつれて流動性が低い通貨が対象範囲に入っています。
例えば、「M1」の主な対象は現金と普通預金ですが、「M2」「M3」になると定期預金などが含まれ、「広義流動性」になると投資信託などの金融商品も含まれます。海外でも「M2」や「M3」という同じ名前の指標がありますが、各国の事情に合わせて対象となる通貨は微妙に異なっています。
「M2」と「M3」で対象となる通貨は同じです。違いは通貨発行主体にあり、大雑把に言うとゆうちょ銀行を加えるかどうかです。ゆうちょ銀行を加えないのが「M2」、加えるのが「M3」です。ちなみに「M1」の通貨発行主体にはゆうちょ銀行も含まれます。つまり、「M1」と「M3」が対象とする通貨発行主体は同じです。このあたりの関係はマネーストック統計の解説の中で詳しく解説されています。
銀行からお金を借りると増加する
お金の量(=マネーストック)が増えるということは、誰かが独り占めでもしない限り、広くお金が行き渡っていると考えられるので、経済が活性化していると考えられます。それでは、どのようにマネーストックは増えていくのでしょうか。
ある企業が業績の拡大を目指して、最新機器を備えた工場を増設するとしましょう。設備投資をするには資金が必要になるため、その資金の一部は金融機関からの借入によって賄われると考えられますが、金融機関が新たに融資をするということはお金を新たに供給することを意味します。市中のお金の量が増えるので、当然マネーストックが増えます。
個人の場合でも住宅ローンを組めば、それがマネーストックの増加要因になります。いずれのケースも、信用創造によって金融機関が生み出したお金を使い、設備投資と住宅投資を実現しています。企業や人は投資を行うとき、金融機関の信用創造が働いてお金が生み出されるます。これによって社会に出回るお金の量(=マネーストック)も増えるわけです。
ちなみにお金とは現金だけを意味しません。実際に「M2」以降に占める現金の割合は10%もありません。残りは何かというと、預金です。預金も現金も同じと思われるかもしれませんが、預金は通帳に記載されている数字として存在しているだけで、現金ではありません。金融機関は信用創造によってこの数字を生み出すことができ、企業の設備投資も個人の住宅購入もこの信用創造で実現できるわけです。
マネーストックの増加ペースが遅い日本
マネーストックの推移をみると、着実に拡大しているように見えます。ただし、先進国(米国とユーロエリア(ユーロを採用しているヨーロッパの国々))と比較するとその拡大のペースが明らか遅く、日本経済の停滞を物語っているように見えます。
経済活動が行われている限り、マネーストックが増加傾向にあるのは当たり前のことなので、見るべきはその増加率となります。
統計プロフィール
- 資料
- 日本銀行:マネーストック
- FRED:Economic Data
- 統計の作成方法
- マネーストックは「M1」「M2」「M3」「広義流動性」の4つの指標があり、いずれも日銀が収集しているデータなどが基礎資料となっている。「M3」が代表的な指標とされているが、2008年に各指標の範囲を見直して、このときに名称が従前のマネーサプライから現在のマネーストックに変更。過去に長く遡って通貨量の推移を見る際は「M3」からゆうちょ銀行などの通貨発行主体を除いた「M2」がよく用いられる。
- 公表時期
- 対象月の翌月第7営業日(3月と9月分は、翌月第9営業日)に日々の残高の平均値である「平残」速報値を公表。
- 翌々月の第7営業日(2月と8月分は翌々月の第9営業日)に「平残」と月末の残高「末残」の確報値を公表。